少し太っていた方がいい? 体重を減らさない食事
クォリーヴァ 主宰 管理栄養士
地中海食研究家 貴堂 明世
健康は毎日の食事から培(つちか)われるものですが、はたしてその量は皆様に合っているでしょうか。
我が国では40~64歳でおなか周りに脂肪がつき、生活習慣病の予備群となるメタボリックシンドローム(メタボ)が指摘されたら減量指導の勧告を受けることになっています。減量によって死亡リスクを低減させることができるという研究結果に基づき、この方法で健康を維持すれば健康長寿を享受できるものと考えていたからです。
ところが高齢者の増加とともにこの考えを覆(くつがえ)すような研究結果が示されてきています。中高年日本人25万人を11-13年間追跡調査した結果、肥満度指数(BMI)注1)と死亡率との間にはU字型の関連があり、最も死亡リスクが低かったのはBMI 23~27注2)だったのです。これはやや肥満の人の死亡リスクは標準体重の人と差がなかったということです。反対にBMI19.0未満のやせている人の死亡リスクが最も高く、高齢者になったらやせすぎに至る体重減少を避けることが重要であることが報告されています。つまり中年期は生活習慣病の予防を目的として食事のとりすぎに注意しますが、高齢期になったら介護予防を目的として老年症候群(ロコモティブシンドローム注3)、認知症など)を避けて食品数多く低栄養に注意して食べること注4)が長生きの秘訣のようです。
では一体何を食べるべきかについては今後お伝えしていきます。
注
- 肥満度指数 BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) (22~24.9が標準で25以上は肥満)
- Sasazuki S,et al. J Epidemiol 2011;21: 417-430
- ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)年齢とともに運動機能が低下するために自立度が低下し 介護が必要となる可能性が高い状態
- 東京都健康長寿医療センター研究所 新開・野藤資料より抜粋