「ロコモ」を予防して、いつまでも元気に過ごす方法は?
クォリーヴァ 主宰 管理栄養士
地中海食研究家 貴堂 明世
今回は高齢者の「ロコモ」(運動器障害)注1)についてのお話をいたします。ロコモとはロコモティブシンドロームの略で立ったり歩いたりする身体能力が低下した状態のことをいいます。私たちの身体は骨、筋肉、関節、脊髄、神経などが連携してスムーズに体を動かしていますが、加齢によりこれらの機能が徐々に低下して運動機能に支障を来してきます。原因としてやせすぎ、肥満、運動習慣のない生活があげられています。その裏には筋力・体力低下、骨粗鬆症、変形性膝関節症や脊柱管狭窄症、関節や筋の痛みなどが隠されています注2)。そのまま放置すると骨折や転倒によって将来要介護や寝たきりになってしまう可能性が高まります。若い時から生活習慣の改善や適切な運動によってロコモを予防することが大切です。
ではどのくらいの運動やトレーニングをしたら予防ができるのでしょうか。厚生労働省は高齢者(65歳以上)の生活機能の維持・向上を目的とした身体活動目標として、2023年から歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上(6000歩以上)、有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動、柔軟運動など多要素な運動を週3日以上(筋力トレーニング週2~3日を含む)、座りっぱなしの時間が長くならないようにする注3)ことを掲げています。歩数の目標は以前の8000歩より少なく、運動目標は詳細で具体的になっています。ただし運動をしていれば筋肉や骨が形成されるわけではなく、同時に栄養が補給されなければ体が消耗するだけになってしまいます。前回お伝えしているように、たんぱく質やビタミンD、カルシウムなどを含んだバランスの良い食事をタイミングよくとると効果的です。
注
- locomotive syndromeのこと
- 厚生労働省「スマート・ライフ・プロジェクト」公式サイト
URL:https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/locomo/
※当サイトにはロコモチェック法、トレーニング法も掲載されている。 - 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf